「化学を勉強して」 2006/8/26
木・金と東京に出張していました。髪の毛のシャンプーも手がけているので、ヘアケア関係の学会の勉強会があったからです。この週になってから知ったので、参加しようかどうしようかと迷いましたが、やはり参加すれば、その分知識が増えますので、結果から考えると良かったなぁ〜と思っています。
そんな関係で今週はバタバタしましたが…
今日は、化学を勉強して、何になるの?
ということを、少し掘り下げてみたいなぁ〜と思います。
クリーニングは、化学をいっぱい使っています。
洗剤で洗うこともそうだし… 糊付けなどの加工も… シミ抜きは化学とイメージしやすいですネ!
別に化学の事を知らなくても、その洗剤や加工剤やシミ抜き剤の使い方を知っていれば、別に困りません。ある意味、それで充分です。
例えば、衣類を仕上る時… スチームアイロンをつかったり、水を霧吹きでかけたりします。私達は体験上、水分を使うと、シワが伸びやすくなることを知っています。
別に、この場合、分子レベルで水素結合が、水やスチームを使うことで一端バラバラになり、乾かした時に再結合するなぁ〜んて知らなくても、充分アイロンをかけることができます。
何度も説明しているから、もう多くの方も覚えたことだと思いますが、色素を処理するとき、染料は水素結合や分子間力(ファンデルワース力)、イオン結合、共有結合で、繊維にくっ付いています。
これらの結合の事を知らなくても、トリオやピンキーを使えば… 自動的に現時点使える最も進んだやり方で、色素を繊維から引き離すことができます。
別に技術をウリにしていないのなら… 別にややこしい化学なんて考えなくていいです。
ただ、化学を少し知っているのと、全く知らないのでは、やはり差がでます。
これからクリーニングも量の時代から質の時代へと変化せざるを得ませんから、化学的なことはかなり押さえておいた方がいいと、私は考えています。
というのは、どの薬剤を選ぶか、どのように使うのかで、クリーニングの品質差がハッキリと出て来るからです。
質を重視するクリーニングには、薬剤のことはムシできない大きな要因です。
洗剤や加工剤などの薬剤は…
使ってみて、結果がどうなのか?
原理がどうなのか? (どういうふうな理由で?)
一番大切なのは、結果です。
使ってみていい! この事実が全てに優先されます。
原理がどうなのか?
これは供給されるメーカーのノウハウとの関連で完全には教えてくれませんが… その製品をPRする上で、必ず少し顔を出します。
この原理が少し分ると…
応用がききますし、方向性が見える… メーカーや販売業者に振り回されなくなります。
例えば、昨日のヘアケアのことでも…
あ、一応、ヘアケア製品を製造、開発などをする人向けのセミナーです。
大手メーカーのヘアケア部門の責任者の方が講師でしたが、髪の毛の風合いを出すという行為についても… TVやCMで大々的に謳われていることは、ぜんぜんでてきません。
TVやCMで謳われていることは、ウソではないでしょうが、それがポイントではないのです。
消費者は、「○○○が配合されているから、いいんだ!」と、思っているでしょうが、それは実はどうでもいいことなので、製造、開発者が集りの中では、話題にすらならない。
私、このことシャンプーを手がける前から知っていました。
だって、衣類(繊維)に一番いい風合いを出すには、どうしたらいいのか!考えていたもの… 髪と衣類は全くのイコールではないですが、同じ繊維質です。
この繊維の風合いについての答えは、エレガンSPの中にありますネ〜(笑)
さて、クリーニング業界では…
かつて私がクリーニング会社にいた時、営業で回ってきたほとんどの業者さんは、宣伝用の謳い文句を言っているだけで、原理の説明がない、というかメーカーの営業マンでも、原理の説明ができない人が多いのが実情でした。
それじゃ… 他社さんに差別化できるクリーニングできない…
そして、あの説明では現場を混乱させるだけで、よりよいクリーニングはできない… だって、人間だから間違えることもあるのはお互い様だけど、いくらなんでも、それはないよなぁ〜と言うような説明を何度も聞きました。
「ねぇ、それ、他のクリーニング会社さんでも説明している? その説明は申し訳ないけど止めた方がいいヨ!」と、なんど業者さんに説明したことか!
皆さんも、こんな体験、ありませんか?
シミ抜き教室でも…
シミ抜きに熱心な人が集まると、薬剤の話で、盛り上がります。
シミ抜きを習い始めた瞬間、私も「へぇ〜! すごい!」なぁ〜んて、シミ抜きの先生や先輩達を羨望の目で見ていました。
でも、先生や先輩の言っていることを、ノートにまとめてみると…
「あれ!?
なんだこりゃ〜! 論理としてバラバラじゃん!」
一応、私の聞き間違いや聞きそびれたのかなぁ〜と改めて質問してみると… 論理が整理されていないことを発見! これじゃぁ、スキだらけ!
で、独自に自分で考えてシミ抜き剤を調合したら… それをシミ抜きの先生に販売することになりました。シミ抜きの先生はさらにそれを、クリーニング会社に販売していたけど…(笑)
このシミ抜き剤は、私の父のシミ抜きノウハウ(地色を壊し難い漂白を20年以上前に発見)を、私なりに再構成したものです。
原理は全く変わっていますが… そのコンセプトは、シミナックスとして今は、松井化学の製品となって引き継がれています。
その後、松井さんと出会い、その化学のノウハウのすごさに圧倒され、これでは、私がシミ抜き剤を調合する出番はないなぁ〜と思い、私がクリーニング側として「こういうのが欲しい」とリクエストし、松井さんが作成するということがはじまりました。
さてさて、いきなり化学の言葉がでてくるとややこしいので…
チョチョコ、読み物風にして、その化学言葉を使って見たいと思います。
決して、化学の専門家になる必要なんてありません。
クリーニングで、これどういうことなのかなぁ〜と言うことが、何となく分れば充分です。
化学の言葉が分れば、あのTESのテキストも、すごく簡単なものになりますヨ! (すごくは、言いすぎかも…)
TESの場合は、いきなり高分子(ポリマー)のことがでてきますネ。用語になれていないと何のこっちゃ?となります。
でも、用語慣れすると… なぁ〜んや!となります。
今までも細切れに原理を書いていたつもりですが、これからは、チョコチョコ化学の事を書いて行きますネ。
そして、なぁ〜んや! と思えた時、きっとワンランク上のクリーニングができていると思います。
ではでは…