「お渡しトークについて」 06年12月10日
掲示板の●●さんの投稿を見て、ちょっと書きたくなりました。
お客様からの仕上げや洗いの要望(線ありとか糊硬くよりもっと細かな要望)を正確に把握し実行してその結果をお客さんに伝えるということまでできたらいいなと思っています。
私の体験では、これを実行すると… 絶対喜ばれます!
しかし、クリーニング工場で自分達が頑張った事をお客様に伝えるという事をするクリーニング店は、案外、少ないです。
例えば、かつて、ライバル店に、スパイとして、クリーニングを出しに行き、チェックをしていた時に思った事です。
ある程度マニュアルの整備されたクリーニング屋でした。出した衣類を取りに行き、預り証を店員に渡すと…
「山崎さま、少々お待ちくださいませ!」と言って、商品を取り(探し)に行きます。
で、商品を持ってきて…
「山崎さま、大変お待たせいたしました。カッターと背広上下ですネ!」と言い、商品をたたんで、袋にいれてくれ…
「山崎さま、またの来店、お待ちしています。ありがとうございました。」
お客様の名前を何度も呼ぶように教育を受けているのでしょう。店員が一生懸命しているのが、伝わってきました。
しかし、私が思ったのは、必要以上に、山崎さま、山崎さまと連呼されて、不自然な気持ちがしたのです。そして、本当に私の事を覚えていてくれたのなら嬉しいけど、預り証を見て、名前を見て、接客しているのが見え見え…
結論から言うと、その会社は一生懸命しているのだろうけど… 客の側からいうと、たいして嬉しくない…
そこで、私の顔が真っ青になります。
そう、お客様の名前を連呼するような指導を、私も店舗にしていたからです。
「しまった、俺、アホや! 従来の一般的なクリーニングの接客のテキスト通りに実行するなんて… これでは、お客様は喜ばれない…」
で、マニュアルを変えてしまったのです。
必要以上に、名前を連呼する… しかも、お客様の名前を覚えていないくせに、預り証を見て、口先だけで呼ぶのは… もう、卒業しようと思ったのです。
では、どのように商品を渡したのでしょうか?
私の考えでは… 終わりよければ全て良し… 即ち、受付時以上にお渡し時が肝心だと思ったのです。
ある程度のパターンはあるのですが… 全く同じの紋切り型のトークはありません。
具体的にいえば、たなみんさんが掲示板で書いていたようなことをしたのです。
かつての接客のトークの一例を紹介します。
最終的に商品をお客様にお渡しする前に…
「あ、おズボン、汗がついていたようなので、汗を抜く、特別なクリーニングをさせていただきました。」
「こちらのブラウスは、エリ付近をシッカリ糊付けし、それ以外はしなやかにやわらかくなるようにしています。うちは何でも、化粧品で使うような特殊な原料を使っているので… 私、すっごく、この風合いが好きなんですヨ。」
「見て♪見て♪、シミが本当にキレイになって… 私、嬉しくって…♪ うちの工場のシミ抜き技術は本当にいつも感動なんです♪」
これを、私的に、“お渡しトーク”と名付けていました。
特別、お客様が並んでいる場合や忙しそうにしている場合を除き…
このお渡しトークをキッカケにして、2〜3会話をしてもらうのです。
この2〜3の会話を店員が実際に喋れることこそが… 私の最大の自慢の一つ…
店員さんは、自分でカウンターに立っているので… シミがいかに取れているか、その時お客様がどんなに喜んだかを身体で知っています。
私から、頻繁にクリーニングの説明を受けているので… 知識も豊富。
それらを、上手く活用しないともったいないので、お渡しトークの後に、これらの話題を、さりげなく、お客様に伝えるのです!
すると… お客様が、クリーニング店を見る目が変わってきます。
さて、最大の問題は… お渡し時に、クリーニング工場でやったことを、伝えると言っても…
これは、そうそう簡単にできることではないです。特にチェーン店では…
しかし、DCCの会員の皆さんは、クリーニング業の中でも、特に熱心な方が多くいらっしゃるので… 参考になればなぁ〜と思い書きました。
もちろん、同じことをする必要はありません。各会社で、自分達流の“お渡しトーク”を、作っていただくのが、一番です。
長くなりましたので、また、次回に書きたいと思いますが…
私の場合は、お渡しトークをする最大の問題は、工場と店舗の関係でした。
それを、私がどう采配して… 実際に、お渡しトークの実施にこぎつけたかを、その時に紹介したいと思います。